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プロとしての精度をさらに高めていきたい(2016年1月号 萩原麻由子)

日本女子初の快挙

左縦.jpg未だ根強い人気を誇る自転車。中でも、ロードバイクをテーマとしたアニメ人気も手伝って、女子のバイクファンは急増中だ。もっとも女子においては、リアルな世界が熱い。昨シーズン、世界最高峰の女子ロードレースにおいて、日本チャンピオンの萩原麻由子選手が、ジロ・ローザ第6ステージで優勝を飾ったからだ。
昨年度のシーズンを終え、日本に帰国していた萩原選手のインタビューの機会を得た。早速そのステージ優勝について伺うと、「まぁ、成績は出せたシーズンでしたが、最後に自爆系の落車で鎖骨を骨折してしまって…、天国と地獄を味わったような感じでした」と至って冷静な答えが返ってきた。
このジロ・ローザというレースは、男子のロードレースで一度は耳にしたことであろう、世界3大ツールの1つ、ジロ・デ・イタリアの女子版といえるもので、世界にその実力を証明したのだった。それだけに萩原選手の第一声は意外な反応であったが、これも次のシーズンを見据えたものだろう。
とはいえ、男女を通じ世界のトップレースにおけるステージ優勝は日本人初の快挙だ。一昨年にはステージレースで3位と表彰台に上がっていただけに、「私個人としては、優勝はそう遠くはないと思って臨んだシーズンでもありました。第6ステージは、総合優勝を狙える選手がチームに2名いたので、その実現のための大切なステージでもあったので、まさか優勝できるとは。区間とはいえやはり優勝できたことは、嬉しいの一言。自分の成績になったことはいうまでもありませんが、チームメイトや監督はもちろん、ライバルチーム選手たちからも、『今日の走りは良かったね』と声を掛けてくれたのが、この年の一番の収穫です」と笑顔を浮かべてくれた。

寝坊助が脚を鍛える

日本人女子選手としては168㎝という長身の萩原選手。ロードレースの選手はスリムな人たちが多いとされているが、その中でも群を抜くようなモデル体形。その外観よりも、謙虚で穏やかな語り口に引き込まれてしまう。アスリート特有の荒々しさは微塵もなく、強豪ひしめく世界のトップツアーで戦っていることを忘れてしまうほどだ。
自転車競技に目覚めていくきっかけになったのは、萩原選手らしいといえば失礼だが、自身の性格によるところが大きかったようだ。「進学した高校にたまたま自転車同好会があって、興味がわいたんです。あえて理由をあげれば、運動は得意な方でなく、唯一自信のあった長距離走もすぐに脚をケガしてしまう子どもでした。だから運動部に入ろうと、空手部とともに迷っていましたが、自転車の方が慣れ親しんでいたという単純なものです。何しろお寝坊さんの遅刻魔で、いつも全開でペダルを漕いでいたので、こっちの方が自信があるんじゃないかと(笑)」。

相手に視線を読ませない

ヘルメット.jpg自転車といえば、まさにベストパートナーといえるのがサングラス。萩原選手は、チームで提供を受けている、LASERを着用している。
「サングラスは自転車とセットです。雨の時や、異物の侵入、そして眩しさ除けに欠かせません。でも日本で活動していたときは、練習時にサングラスを掛けることがあまりなかったんです。それがヨーロッパで走るようになると、虫がたくさん飛んでいて、サングラスなしでは走れないほど。常時、サングラスを掛けるようになりました。気に入っている1つがミラーレンズ。外から目が見えないのが良いですね。もっとも顔の動きで大体の視線は分かってしまうと思うのですが、やはり視線はできるだけシャットアウトしたいんです。これもサングラスの特権です」。

1年1年が勝負の年

決め萩原.jpgジロ・ローザでのステージ優勝という勲章をひっさげ、プロ4年目となる2016年のシーズンが早くも始まろうとしている。今後の目標について語ってもらった。
「リオ五輪への出場は1つの目標であり、自分自身にとっても節目の大会と捉えていますが、プロであれば世界選手権の優勝こそがステータスとなります。夢を見るなよといわれそうですが、ここで表彰台に上がれる選手になりたいんです。自分の成績はもちろんですが、このキャリアアップがきっとチームに貢献すると考えています。現在、上位2チームは誰が勝ってもおかしくない状況で、我がチームもそうなると信じています。ヨーロッパの勝てる選手、最終目標は世界選手権となりますが、そのためにもプロフェッショナルを突き詰めていき、さらに精度を高めていくことです。すでに若手ではありませんが、それだけに経験値を生かしながら、1年1年が勝負の年として気を抜かずに夢の実現を目指していきます」。
 

 

※プロフィール
はぎわら まゆこ
1986年10月16日、群馬県前橋市生まれ。高校の自転車同好会から自転車競技のキャリアをスタート。04年アジア自転車競技選手権大会ジュニア部門で優勝を果たし、06年のジャパンカップ、続くドーハアジア大会で日本人女子として初優勝を飾る。09年からサイクルベースあさひに所属してレース活動を続け、全日本選手権、ジャパンカップ、アジア選手権など内外のレースで数々の実績を収め、12年には新設されたイギリスのプロチーム、Wiggle-Honda Pro Cyclingに移籍。14年にはグランツールのジロ・ローザ第3ステージで3位に入り、翌15年の同レース第6ステージで優勝を果たす。

※全文は是非、本誌でお楽しみ下さい。

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