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四国中央市(愛媛県)

まずは自然美に

金砂湖.jpg山道を上り富郷渓谷を目指す。翠波高原、金砂湖を横目にしながら、緑に包まれた道路を走り抜けるのは、極上の時間。市街地から1時間も掛からずに、渓谷美に対面できるのは羨ましい限りだ。富郷渓谷は銅山川の上流部で約6㎞にわたって渓谷美を展開する。その中でも戻ケ嶽といわれる岩壁は、渓谷のクライマックスといえる景勝地。高さ60mを超える岩壁がそそり立ち、その岩の割れ目から樹木が繁り、さながら山水画の世界を映し出していた。
また途中の翠波高原も見どころの1つ。事前に調べたところ、花はオフシーズンとのことでスルーつもりだったが、「よぉきたなぁ。よってらっしゃい」との声が山の頂から聞こえ、ハンドルを切る。メインの花畑はコスモスが成育中で情報通り。あたりを見回すと翠波峰を示す案内看板が目に入り、頂上を目指すことにする。
駐車場近くの展望所に出れば、さすが標高890mとあって、具定展望台を上回る大パノラマが広がる。さらに遊歩道を歩いて行くと、今度が法皇山脈や四国山地を間近に望むことができるではないか。これぞ目で味わう山海の恵みだ。

紙に近付く

紙資料館・水引.jpg甲子園・メイン.jpg最初に訪れたのは川之江地区の紙のまち資料館。数々の紙製品や日本の伝統工芸、水引などを展示しているほか、製造工程の紹介や、手漉きによるハガキづくりも体験できる(要予約)。その数多くの紙製品とともに、館内に展示された大きな書にも圧倒される。これは映画「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」のモデルとなった、書道パフォーマンス甲子園の15年度の優勝作品だった。
この映画を劇場で観る機会はなかったものの、気になる映画で年柄もなくときめいてしまった。1つはお気に入りのタレントが出演していたことと、旅人も小学校から中学生までの約5年間、書道教室に通っていたから。中でも小学6年生の時、書き初め大会では生徒代表として表彰を受け、地区での表彰式でも学校を代表して参加できたのは、これまでの人生の中で唯一の金星。もちろんこれが最初で最後の晴れ舞台であることを自覚している。
ごひいきタレントの名は恥ずかしいので伏せておくが、こんな娘がいたらと思うだけで、邪な気持ちは皆無であることを強調したい。紙から脱線してしまうが、映画を観るチャンスがなかっただけに、ロケ地訪問に切り替えよう。その代表的なスポットが三島公園。製紙工場の煙突が一望できるこのスポットは、書道部全員が集合して撮られたもので、映画のチラシにも採用されている。部員の姿がないのは当たり前だが、きっと今頃は良き奥さん、良きお母さんになっていることだろう。
ロケ地巡りをする中で、市街地を車で走れば誰もが知る紙のブランドが目に飛び込んでくる。そういえば、わが家のティッシュがエリエールからエルモアに代わったのは、いつだったのだろうか…

美しき自然を支える哀話

川之江城は残念ながら現存天守ではない。昭和61年に天守閣が完成し、涼櫓、櫓門、隅櫓を順次整え川之江城.jpgていき、同63年に城山公園として整備事業を完了させた。土塁や石垣だけでも往時しのばせることができるが、やはり復元とはいえ天守閣があってこそ。観光資源となり、きっと地元の誇りになっていることだろう。
いまから約650年前の南北朝時代、南朝方の河野氏の砦として築かれた。国境という要衝地であったことから、数々の攻防が繰り広げられ、悲劇の城でもあった。またこの城には、400年以上にわたって語り継がれる悲話が残されている。
城中の花、才色兼備の年姫は、父河上但馬守安勝が家臣の謀反により横死し、敵の手中に落ちることなく、城の崖から馬に乗って身を投じてしまう。その場所が姫ケ嶽と呼ばれている。与謝野晶子は、
姫ケ嶽 海に身投ぐる いや果ての
うまして入りぬ 大名の娘は
と詠んでいる。
年姫の悲劇はきっと、青く澄んだ瀬戸内の海を支えてくれているのだろう。

この町のおすすめショップ

癒やし、癒やされる地元のサロン 【メガネのみずき】

みずき店内メイン.jpgJR川之江駅駅前ロータリーから続くアーケードを直進していくと、こうばしい香りが漂ってくる。ちょうど喉の渇きを覚えていただけに、コーヒーメーカーの名が記された看板を目にして店内に足を踏み入れる。
実はこのショップが、旅情の主役となるメガネのみずき。メガネショップでもサービスの一環としてコーヒーを供するところは少なくないが、ここは喫茶店とメガネショップが一体化。改めて看板を眺めると、メガネ・補聴器・コーヒーと刻まれている。
あいさつもそこそこ、代表の野口浩平さんはサイフォンに火を付け、コーヒーを淹れてくれる。一口味わえば、程良い苦味と酸味が広がり、「美味しいです。何杯ものみたくなります」と素直な感想を口にすると、「コーヒーはまだ半人前です」と笑顔を浮かべる。元々この店は今から8年前、野口さんのご両親が第二の人生として、喫茶店「茶茶」として営業を開始。今年4月に、西条市で同じく8年間営業していたメガネショップ、「メガネのみずき」が里帰りしたわけだ。
野口さんみずきサイフォン.jpgがメガネを職業として選んだのは、「なんとなくなりゆきで」と飾らない言葉が返ってくる。しかし、「修行先でメガネづくりと接客の奥深さを知り、そんな甘い考えは見事に打ち砕かれました」と苦笑い。また家族以上に温かく顧客に接する恩師や先輩達の姿を目の当たりにして、メガネづくりの矜持を深めていく日々を過ごし、「見えなかったものが見えるようになる。聞こえなかった声(音)が聞こえるようになる。その瞬間に立ち会い感動を共有することができる。こんなにありがたい職業はありません」と一生の職となる。
「喫茶店のゆったりとした時間の流れの中でメガネ選びを楽しんでいただきたい」と野口さん。以前から週1回の休日、「茶茶」で出張メガネ販売を続ける中でその思いを強くし、今春、新生メガネのみずきの誕生となった。見えること、聞こえることの感動を届けることはもちろん、世代を超えた地域のコミュニティスペースでありたいという。
ご多分に漏れず川之江の商店街も往時の賑やかな姿はない。店名のみずきに込められた想いは、「水や木々のようになくてはならない存在に」。取材中も店内は、コーヒーを味わいながら、常連客らは地元談義に花を咲かせる。その姿を見てオアシスと重ね合わせてしまった。

SHOP DATA

みずき商品.jpgメガネのみずき
住所:四国中央市川之江町1594-6
TEL:0896-29-5901
FAX:0896-29-5902
営業時間:9:00〜19:00
定休日:木曜日
取扱ブランド
ファッシノリベッレ、パドマイメージ、オークリー、ラモートアイワークス、シュウクメダなど

店長のおすすめモデル
上:RAMOT EYEWORKS RM-006
中:Fascino Ribelle Mod.F-11-015
下:PADMA IMAGE spoon
代表の野口浩平さん

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