ホーム > 眼鏡旅情 > 横浜市中区(神奈川県)

横浜市中区(神奈川県)

横浜の別世界

三渓園・三重.jpgすでに半世紀以上過ごした身にとっては、静かな場所で過ごしたくなるものだ。そんな思いを叶えてくれるのが、国指定名勝の三渓園。異国情緒溢れる横浜だけに、日本庭園を散策するのは一興。
土曜日ということもあって午前9時の開園時間に合わせることにする。園内に入れば目の前には、そのものズバリ大池が穏やかな水面をたたえ出迎えてくれる。花を目的にすれば寂しい季節であるが、大池越しに三重塔や数々の歴史的建造物などが借景となり、異空間に飛び込んでしまったような錯覚を覚えてしまう。
ここ三渓園を造成した横浜の実業家、原三渓が、東京湾に面した谷間の地に上げた日本庭園。明治後期に造成されたこともあって、ここの見どころは、京都や鎌倉、そして白川郷から集めて歴史的建造物が配された景観で楽しむことができる。
池畔に沿う道で内苑と外苑にわかれている。内苑は、特に内苑の臨春閣をメインに月華殿、聴秋閣などの景色は、横浜にいながら京都の雅を感じさせる。ここは別荘として使用しており、私邸となった白雲邸は三渓夫妻が暮らした数寄屋風建築だが、訪れた時は改修中で見学はでっきなかった。もっともこれこそ夫婦水入らず、ということだろう。
また外苑にでは、リトルハイキングが楽しめる三重塔からの展望、下って行けば白川郷から移築された合掌造りの旧矢箆原家住宅の姿も。ここは唯一内部公開している建造物。飛騨三長者の1人とも言われた名家だけに、書院造りの座敷を設けるなど、農家とは思えない普請となっており、しかも現存する合掌造りでは最大級の民家でもある。
実に見どころが多く、全国各地の歴史の一端に触れる庭園は、そう多くはないだろう。個人的には歴史、規模こそ遠く及ばないかもしれないが、日本三名園ならぬ、日本四名園としたいほど。季節の花の開花に合わせた、旅の目的地として再訪したくなる。

関内で触れる歴史ロマン

開港−2.jpg関内はそれこそ、関門の内側ということからその名が付いている。まさに要衝の地だけに、建造物を含め歴史の宝庫ともいえるだろう。まず訪れたのは、日本郵船歴史博物館。企業博物館であり、その歴史は言わずと知れた三菱財閥の岩崎彌太郎の九十九商会が、その前身。政府の命を受け、日本初の外国航路を開設したが、政変もあって抑圧が始まる。半官半民の共同運輸会社との値引き競争は熾烈を極め、体力を消耗していくのは、いつの世も同じということか。物流の花形だった時代だけに、政府も動き両社は合併し、日本郵船として歴史を刻んでいくことになる。

短い船旅を終えて、関内を歩いていくと、赤レンガが印象的な横浜開港記念館の前に出る。横浜を訪れる度に目にする建物だが、これまでの横浜巡りは港周辺ばかりにウェイトを置いてきただけに、内部見学ができることを知らなかった。
何でも、横浜三塔物語なるイベントを展開しているいう。ここ開港記念会館の塔が「Jack」、ここからも近い神奈川県庁の塔が「King」、そして海に近付き横浜税関の塔三塔物語.jpgが「Queen」と呼ばれている。
この三塔が1つのアングルに収まるスポットが3カ所あるらしく、「その三カ所を巡ると、幸せになれるという都市伝説があるんです」とも。時間の関係もあって、今回はその1つをSDカードに収めることができた。3という数字は、人が好む数字として知られるが、トランプでいえば1つ足りない。そう「Ace」が欠けているのだ。エースといえば、ジョー。彼はきっと中華街に身を隠しているのだろう。

この町のオススメショップ

香り漂うホスピタリティ 【角田メガネ&カフェ】

ツノダ・内観メイン.jpg横浜市中区といえば、歴史と未来が同居する、市内を代表するエリア。その中心地となる関内から西へ向かい野毛を越えると、どこか郷愁を誘われる町並みへと変化していく。大岡川沿いにある黄金町、初音町一帯はその昔、知る人ぞ知るアンダーグランドであったが、現在は雑貨やアパレル、ギャラリーが軒を連ね、アートな町へと変貌しつつある。
現代版の棟割り長屋の町並みとアートが織りなす不思議な空間を散策していくと、鼻腔を刺激するかのような香りに誘われて着いた先は、初音町にある角田メガネ&カフェ。コーヒーなどの飲み物を供するメガネショップは少なくないが、サインにあるように喫茶を併設するところともなれば、そうそうあるものではない。
実は同店、60年以上にわたり馬車道で営業を続けていたが、テナントとして入っていたビルが解体されることになり昨年9月、先代の住居を改装し移転オープンさせたもの。二代目の角田 操さんは、「この地は僕にとっても原点といえる場所。とはいっても少し離れてしまうわけで、顧客の皆様にご迷惑をお掛けすることから、足を運んでいただけたら少しでもくつろげる場所を提供したかったんです。もちろん地元の方々にも憩いの場になってくれたらうれしいんです」と角田さん。顧客らと共に過ごすホスピタリティを見据えた一つが、喫茶の併設になっているようだ。
もてなしの心と共に楽しい時間を共有できる空間が息づくが、メインといえば当然のことながらメガネとなる。創業当時は時計をメインとしており、角田さんは大学在学中から店の手伝いをしていただけに、この道に進むのは自然の流れだったようだ。ツノダ・コーヒー.jpg
正式な後継者として店に入る頃には、時代の流れもあってメガネのウェイトが高まってくる。角田さんはレンズメーカーの協力を得ながら独学に近い形でメガネ調製における知識、技術を習得していき、また地元の病院で10年以上にわたり屈折検査を行い、いまも診療日の全日、病院へと通うなど、医師からの信望も厚い。
すでに半世紀近いキャリアを重ねてきたが、「あの人なら安心して任せられる、そんなメガネ店でありたいんです」と角田さん。その歴史は技術者としての矜持を裡に秘め、信頼関係を築く歩みそのもの。これにくつろぎの空間を加え、顧客、地域を結ぶコミュニティーとしても時を刻んで行く。

SHOP DATA

ツノダ・メガネ.jpg角田メガネ&カフェ
住所:横浜市中区初音町1-21
TEL:045-309-8535
FAX:045-315-1992
営業時間:11:00~20:00(土曜・祭日は19:00まで)
定休日:日曜日
取扱ブランド
チタノス、エミネンス、ニューヨーカー、ファルベン、スーパータフなど

店長のおすすめモデル
上:VAN-ZAI VZ511
中:NEWYORKER NY-6227
下:Farben F7030

代表の角田 操さん

最新号のご案内


  目次を見る  
購読・購入申し込み