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伊那市(長野県)

桜のいま

高遠−メイン.jpg雄大なアルプスを望める伊那だが、ここを目的とする旅情報はあまり伝わってこない。それは、高遠城の桜があまりにも有名であり、期間限定との意識が強いからかもしれない。その昔、伊那インターチェンジから高遠城までは、1本道であったことから、シーズンともなれば観光バスやマイカーで道を満たし、まったく動かない状態が続いていたという。今は何本かの道が築かれ、大分緩和されたようだ。
桜の季節はとうに過ぎ、きっと静かに城巡りができると思い訪ねれば、予想通り大駐車場にはわずか5台の自家用車が停まるだけ。一抹の不安を抱きながら城散策を始めると、葉桜の緑は目にも優しく迎え入れてくれたものの、建造物はほんのわずかしか残されておらず、曲輪や空堀を確認することができるが、緑に覆われ、城郭全体を楽しむことは難しい。城内には、「天下第一の桜」という碑が誇らしく建ち、やはり桜なのだと納得させられる。
高遠城の歴史を語る中で、スポットライトが当たるのは、2人の城主。戦国時代の仁科五郎盛信と、江戸時代の保科正之。桜は明治に入り旧藩士らによって異色される。天下第一の桜は、タカトオヒガンザクラと呼ばれ、赤みのある色が特徴。天正10年(1582年)、伊那に攻め入った織田軍と戦った仁科五郎盛信の勇猛果敢な姿は代々語られ、その戦の時に流された血の色に重ねられるという。悲劇の赤は当然、平和願う赤であり、年に一度の桜季節はその平和の象徴となっていることだろう。
桜を代表するソメイヨシノの寿命は60年といわれ、シダレザクラ、ヒガンザクラ、ヤマザクラなどは寿命も長く、中には1千年を超える樹齢をもつ桜もある。自然が破壊されつつある現代においては、保護活動は欠かせない。ゆうに1世紀を超すタカトオヒガンザクラも例外ではなく、樹勢が衰えた老木を若返りさせる手法で手厚く守られている。郷土の誇りは、きっと日本の宝ということができるだろう。

また行きいな

熱田神社−2.jpgせっかくの機会である。三峰川の上流を目指し、南アルプスに近付いていくことにしよう。高遠湖、美和湖というダム湖を越えていくと、木々に囲まれ、歴史を感じさせられる神社が現れる。南アルプスの里、長谷地区にある熱田神社だ。神社仏閣は旅の1つの楽しみ。でもその姿は、良い意味で手つかず。事前情報では「伊那小日光」とされていただけに、期待外れと思いきや、本殿の裏手に回ると見事な彫刻が。これが伊那日光といわれる所以だった。正面向拝の上に横たわる龍、唐獅子、象などの彫り物に極彩色で色づけられ、小さいながらも絢爛。気場.jpg
棟梁は妻沼(埼玉)の宮大工で学んだ、池上善八、彫物師は、上州の左甚五郎賞される関口文治郎有信とその弟子達。専門違いではあるが、妻沼といえば以前、別コラム紹介した妻沼聖天山。いずれも小日光であり、こうした巡り合わせも旅の醍醐味の1つだ。
さらに上流を目指していくと、「分杭峠まで直進5㎞」とある。見慣れぬ名の峠の名に興味を引かれ、車から降りて良く見ると、ゼロ磁場とある。それでも何の小ことやら分からず車を走らせていくと、狭い峠道に差し掛かる場所に駐車場が整備されている。ここは分杭峠までのシャルバスの発着地。車を停めて案内看板を見ると、日本有数のパワースポットとある。
ご存知の方も多いと思うが、今から7、8年ほど前からブームがわき起こったとか。極めて鈍感な旅人は、あまり「気」ということに関心を示さない。それでも650円のという往復送迎運賃だけに、きっと敏感な男になるであろうと、期待を込めて向かうことにする。発車時刻間際ということもあって、空いている席は補助席のみ。観光客はこの場所に集まっていたのだった。15分程度でゼロ磁場の最寄りステーションに到着。ここから徒歩で向かうこと、約5、6分ほどでゼロ磁場に到着する。斜面を利用して長椅子がひな壇に接地され、受け入れ施設も十分。早速、腰を掛けて気を集めようとするも何も感じない。
ローメン.jpg旅の最後にご当地グルメを。何かといえばローメン。思い出すのは、盛岡のじゃじゃめん。酢やラー油など、自分で好みの味にして楽しむものだが、正直旅人の口には合わなかった。ローメンは羊肉と蒸し麺が特徴で、気になっていたのはやはり自分流で楽しむというスタイル。でも、このローメンは麵の独特な食感とウスターソースをかけて食べれば、ラーメンのようなソース焼きそばのような不思議な味わいはグッド。
自分流の麵もいーな、と感じながら伊那谷を後にする。

 

 

 

 

この町のおすすめショップ

いつも生活者に寄り添える店でありたい 【おがわ眼鏡】

おがわ内観メイン.jpg中央アルプスと南アルプスを望む絶景を眺めながら、天竜川沿いを北上していく。一駅ほど歩いていたことに気づき、川沿いに別れを告げて横道に入っていくと、町の趣とは異にするセンスの良さを感じさせるショップが現れる。今年6月にオープン1周年を迎えた、おがわ眼鏡だ。
休日であるにも関わらず快く取材に応じてくれ、しかもオーナーの小川雄大さんは、あいさつもそこそこ記者のメガネを超音波洗浄器へと入れてくれる。こうした経験はそうそうあるものではない。「お客さんかどうかは関係なく、店を訪れた方がメガネを掛けていれば当然のことです」と笑顔を浮かべる。第一印象からもてなしを備えた人柄に触れることができたのだった。
20年程のキャリアを積んで、独立を夢見るようになる。そんな時にある業界人と出会う。それは眼鏡専門学校という母校が舞台にもなっていた。
ある教師とは酒席を共にし、あろうことかニックネームで呼ぶほどの間柄だったというから、学園ドラマを地で行くような学校生活を送っていたようだ。学校時代はもちろん、社会人になってもこうした関係は続き、その恩師を慕う卒業生は多く、食事会になれば様々な世代が集まったという。「恩師を囲む食事会で、在京卸商社の代表者と出会い、仕事上はまったくつながりがないのに、図々しくも独立に向けての相談させていただいたんです。こっちは何のバックボーンを持っていないのに関わらず、親身になって相談に乗ってくれました。マーケティングはもちろん融資までと、それこそ開店に向けてのすべてにお世話になったんです。金融機関に提出する事業計画おがわソファ.jpg書などは、それこそ一から教わり、最終的には銀行の融資担当者から、『これをコピーしても良いですか』とい言われるほどにまでなりました」としみじみと語る。
こうして昨年の6月に、生まれ故郷である伊那市に自身の店をオープンさせた。1年を経過した今の店を見ると、都心と遜色ない豊富なコレクションが加わっていることでも、早くも地域の人たちにアイウェアという楽しみを広げていることが伺える。恥ずかしながら記者も初めて目にするブランドもあり、セレクトにはかなりのこだわりを持っているようだ。
伊那にアイウェアの種をまき、花を咲かせているが、小川さんは決して満足しているわけではない。それはメガネの不変的なテーマである、よく見て快適、疲れないメガネというビジョンケアへの取り組み。「おかげさまで少しずつ当店が認知されてきたことはうれしい限りです。それはファッション面という一面だけになっていると感じています。これではまだ専門店とはいえないと思うのです。まだわずかなキャリアですが、パラメーターを用いたオーダーメイド設計のレンズにも力を入れています。もっともこの辺は内側だけの問題。お買い上げいただけるかどうかは問題ではなくて、目のことメガネのことを気軽に相談できる、そんな店になりたいと思っています」と力強く語ってくれた。

SHOP DATA

おがわ商品.jpgおがわ眼鏡
住所:伊那市上牧6520−1
TEL&FAX:0265-95-1839
営業時間:9:30~19:00
定休日:月曜日
おすすめ商品:上:FOMAISON FM-3004 中:lPERFECT NUMBER tile 下:OTO 004
代表の小川雄大さん
HP:www1.inacatv.ne.jp/ogawamegane/
取扱ブランド
FACE FONTS、OTO、kazuo Kawasaki、Ti-feel、Darwin、NEW YORKER、PERSONA、RODENSTOCK、FORMAISON、MASTERPIECE、Dearest、adidas、PERFECT NUMBERなど

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