ホーム > 眼鏡旅情 > 広島市南区(広島県)

広島市南区(広島県)

にのいち

ロード縦1.jpg事前に観光情報を調べていたところ、広島港からフェリーでわずか20分程の距離にある似島(にのしま)があることを知り、島一周を巡るアイランドリゾートをメインにすることにした。当然のことながら土地勘はないので、地図を眺めて船の発着所である広島港・宇品ターミナルへのルートを探すと、路面電車で行くことができるという好アクセスを知る。
俄鉄ちゃんだけに、姿を消しつつある路面電車はご馳走ではあるが、市内には「ぴーすくる」という観光レンタサイクルがあることを知る。自転車は当然、人力、また機動力を増すことから、これを利用しない手はない。しかも市内各所にサークルポートが設置され、自由に貸出・返却できるシステムで、それ以上に心を揺さぶれたのは、自転車のすべてが電動アシストだったことだ。

宇品ターミナルへと到着。
ここで似島行きのフェリーに乗船する。現金払いで大人1名440円、荷物扱いの自転車は140円であるが、ぴーすくるならば、免除されるというおまけ付き。潮風を受けながらの船旅は快適そのもの。20分程度の距離だけに海が荒れてもまず船酔いの心配もない。似島港で下船し、いよいよ「にのいち」に挑戦だ。随分と大げさだが、1周約14㎞であり、また電動アシストという心強い相棒だけに、難なく制覇できるはずだ。港から時計回りでペダルを漕いで行く。休日ということで混雑を予定していたが、サイクリストの姿は少ない。もっとも旅人にとってはうれしい誤算であり、海岸沿いに展開される道路を走るのは、爽快の一言。加えて似島港からほぼ反対側となる似島学園まで車両通行不可だけに自転車パラダイス。そんな環境だから、道路から平然と釣り糸を垂れる太公望の姿も多い。車両が通行できる区間でも車の姿はほとんど見かけず、安心して走行できるからチビッコたにとってもうれしい島。しかも島には1つの信号も設置されていないのだから。
こんな近くに、手つかずの自然が残されているのは、やはり小島ならでは。きっと夏休みは海水浴で賑わっていたのだろうと思ったが、島には砂浜らしきもの皆無といっていいだろう。何となく寂しい気もするが、ここ似島の楽しみ方は、サイクリング、釣りに加えて、トレッキングが楽しめること。

心のリゾートアイランド

似島弾薬庫.jpg似島慰霊碑.jpg単なるリゾートだけでなく、歴史を学び平和を願う心のリゾートであったのだ。朽ちかけた桟橋が点在し、それは日清戦争から第二次大戦終結まで軍の島であったからだ。また引き揚げの地でもあったことから、後藤新平によって検疫所が設けられた。ここは原爆が投下されたあと、1万人にも上る被爆者が運び込まれる。治療や看護の甲斐無く多くの人たちが亡くなってしまい、供養塔を建立。無縁仏は平和記念公園の供養塔に合祀されたものの、あらたに遺骨が発掘されその慰霊碑が、発掘現場付近に建立されている。
もっとも悲しみばかりではない。収容所の一画に、第一次大戦時にドイツ軍捕虜収容所が置かれていた。戦争は悲劇でしかないが、ここの収容所では日本とドイツの友好が築かれていく。ドイツ人捕虜の中には、菓子職人のカール・ユーハイムがいて、物産陳列館(現原爆ドーム)での展示即売会で、バームクーヘンを紹介。またドイツと言えばサッカー大国。こうした技術交流に加えて、広島県サッカー史初となる、広島高師(現広島大学)とドイツ人による国際親善試合が大正8年に行われたという。現在、赤い鯉が力強く泳いでいるが、広島はまたサッカー大国でもあり、その礎になったのは、似島だったといえるだろう。

平和を願い続ける町

ひふくしょう.jpg宇品港へ向かう途中、気になる建造物を目にしていた。ここは広島陸軍被服支廠。大正初期に建てられたもので、その名から分かるように、兵員の軍服や軍靴を製造していたところ。原爆投下により市内は壊滅的な状態に陥ったものの、爆心地から2・7㎞の距離、そして頑丈な造りだったことから、焼失、倒壊までには至らず、救援所として機能したという。
こうした遺構が他にも残されていることを知り、宇品ターミナルで下船後に向かうことにした。自転車で10分程度北上すると、宇品西公園に辿り着く。現在は公園として整備されているが、ここは旧陸軍糧秣支廠が置かれていた場所。レンガ造りの建物はその一部で、内部は郷土資料館として、広島の歴史と戦争をテーマにした博物館となっている。
糧秣(りょうまつ)とは軍事用語で、兵士の食料と馬のまぐさのこと。現存する建物は、缶詰工場を改修したもの。広島は明治27年の日清戦争の際、山陽鉄道の開通、宇品港などの存在を背景に、大陸への派兵基地として重要な役割を果たす。軍事都市としての性格を強め、市内には数多くの軍事施設が建設され、先の被服支廠、糧秣支廠もその遺構の1つとなっている。
また博物館の内部中央の天上を見上げると、2本の鉄骨が折れ曲がっている。爆心地から3㎞ほど離れて、これだけのダメージを与えるとは。改めて核開発の愚かさを戒めて欲しいと願う。
そろそろ、広島市南区の旅を終えることにしよう。1つの区だけの旅ながら実に考えさせられる旅となり、車に頼らない旅の醍醐味と、ポタリングを満喫する。レンタサイクルの充電もあと僅かになったことで、借り受けた運営事務所に自転車を返却し、広島駅駅と向かう。
まだ飛行機の時間に余裕があることから、久しぶりにお土産でも買って家族孝行しようカープ正面.jpgと駅ビルに入ろうとすれば、「カープロード」なる看板を目にする。注意深くその看板をみれば、スタジアムまでの距離は1㎞にも満たない。これは一足先に優勝の気分に浸ろうとスタジアムを目指すことにする。
3分程歩を進めればスタジアムは姿を現す。線路沿いの壁には現役スター選手を動物にパロディったイラスト、それ以上に旅人を喜ばせたのは、山本浩二、衣笠祥雄、外木場義郎、安仁屋宗八、そして津田恒実…、といった往年のスター選手のモニュメントに釘付け。野球少年だった小学生の頃を懐かしく思い出す。広島ファンではなかったが、いずれも記憶に残る選手ばかりで、特別なチームであったことは間違いない。カープの赤は、広島に勇気と元気を与える情熱の色となっているのだろう。

この町のオススメショップ

オーダーメイドもできるくつろぎのアイウェアショップ 【Coloritura】

コロ内観メイン.jpg広島駅からわずか15分ほど歩いていくと、駅前の喧噪が嘘のように閑静な町並みが現れてくる。ここは骨董通りといわれるエリアでいま再開発が進み、アパレル、カフェなどの感度の高いショップが進出している様に、東京・青山を重ねてしまう。そんな話題のスポットの1つの顔として一昨年9月に加わったのが、Coloratura(コロリトゥーラ)。工房を構えたオーダーメイドも手がけるアイウェアショップだ。
ショップ名はイタリア語で、彩りを意味することば。その思いはショップの外観からも感じることができる。緑・白・赤というトリコローレカラーがひと際印象的だ。オーナーの木戸栄治さんがイタリア旅行に訪れ、その色彩に惹かれたという。「色は印象を変えるもので、第一印象を左右する顔に掛けるメガネというアイテムの演出効果は大きいと思います」と木戸さん。また趣味でイタリアのドカティという真っ赤なバイクに乗っている。セレクトされたアイテムの数々は、ブランドという括りで捉えることなく、セレクトの視点はカラーに注がれる。
さらに、カラーの演出効果を高めるために、色彩検定やパーソナルカラーリストの検定を終了。ドレープを使ったパーソナルカラー診断でその人のイメージを高めるアイウェアの提案を行っている。

木戸さんは、SS級眼鏡認定士、メーカー主催のキャリアグラスアドバイザー、横田流認定フレームフィッター、認定販売士を取得するなど、全方位的にメガネづくりを見据える。
これだけキャリアを積んでいると、どこかで上昇志向が垣間見られるものだが、木戸さんはそんな雰囲気を微塵も見せない。加えて終始穏やかな語り口に癒やされてしまはず。つい、「おっとりされていますね」と口走ってしまったが、「マイペースな性格なんです」と微笑む。名刺の裏側を見れば、「O型でしょ?と必ず聞かれる『純O型』と明記されている。十分なキャリアを持ちながコロオーダー2.jpgらも、安らぎというオーラを身に纏う人柄もコロリトゥーラの魅力になっている。また木戸さんは「あなたに似合うメガネがわかる本」を上梓するほど、メガネに対して熱き思いを胸に秘めている方でもある。

また店に工房を構えた手作りオーダーメイドメガネを創作するショップでもある。「僕の顔型に合うテンプルのサイズがほとんどなかったんです」と話すように、手作りによるオーダーメイドは、メガネ選びで困っている人たちへのメッセージ。ショップ内に工房を構えた手作りメガネは、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーで展開。サイズ感、ファッション性ともにジャストフィットを提供する。
また手作りメガネを手がけるだけに、修理も得意とする。「思い出のあるメガネを長く愛用してほしいんです」と木戸さん。コロリトゥーラは、ファッション、そして快適な視生活を見据え、メガネを通じて人生を彩って欲しいとの願いが込められている。

SHOP DATA

コロパターン.jpgColoritura
住所:広島県広島市南区段原1-4-9
TEL&FAX:082-261-4778
営業時間:9:00~19:00
定休日:木曜日
HP:coloritura.jp/
取扱ブランド
FLEA、ONIMEGANE、TURNING、PERFECT NUMBER、YCONCEPT、FACE A FACE、AXEL、KAMURO、Colorituraなど

オーナーの木戸栄治さん

最新号のご案内


  目次を見る  
購読・購入申し込み